魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
16歳になった日は、ゴールドストーンの城下町ゴールドリバーは街を…いや、国を挙げてお祝いをしてくれた。

そして2年経った今――ここに永遠に住もうと誓ったグリーンリバーで、同じように国を挙げて祝ってくれている。

バルコニーから見える景色は、街中に咲き乱れる花の花弁が道沿いにも散りばめられ、城の周囲にはちょっとした人だかりができていた。

ゴールドストーン王国の王女が嫁いできたという報はすでに街中の皆が知るところで、美姫として有名だったラスが手すりから身を乗り出すと、人々が手を振ってきた。


「コー、人が沢山!」


「危ねえから戻れって。あー人前なんかに出たくねえけど、仕方ない!今日だけは我慢する!」


「コーは目立ちたがり屋に見えるけど全然違うもんね。ウェディングドレスを着て、コーに抱っこしてもらって街を歩くの。疲れたらドラちゃんかワンちゃんに乗って…」


「疲れたりしねえし。そらチビ、今から準備して綺麗になってみんなに見てもらうぞー!」


部屋に戻ると、改造済みのエプロン姿の魔物たちがコハクとラスとデスの3人分の食事をカートに乗せて用意していた。

いつの間に部屋に入って来ていたのか、すでにデスが両手にクロワッサンを持って食べ始めていたので、コハクが慌ててラスの分を確保する。


「こらお前!これからいつ飯食えるかわかんねえくらい忙しくなるんだから、チビの分は残しとけよな!」


「………結婚…するの…?」


遅れて部屋に戻ったラスは、ぽつりと呟いたデスの隣に座ると、クロワッサンを両手に持ってもぐもぐ食べながらこくんと頷いた。


「うん、そうだよ、コーのお嫁さんになるの。私がバージンロードを歩いてる間、デスがベビーを抱っこしててくれる?」


「………うん…」


「お前はこれ着るんだぞー」


コハクがデスに見せたのは、リロイとティアラの結婚式の時に着ていたような礼装で、思わずぎくっとした顔をデスがすると、コハクがにやりと意地悪気に笑った。


「真っ黒い格好だけはすんなよな。それが信条だろうけど、今回だけは頼む」


コハクの頼みにもちろん頷いて応えたデスは、コハクの分のクロワッサンをさっと奪って口に詰め込んだ。

コハクと同様にお祭り騒ぎは好きではないが、大好きなコハクとラスが結婚するのだから、絶対に最前列で参列しようと決めていた。
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