魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
これから部屋に戻れば、何が行われるのかさすがのラスも気付いていた。
パーティーはきっと朝まで続けられるだろう。
そしてその間に…
自分は、不死の身となるのだ。
「ねえコー、実はちょっと緊張してるんでしょ?ほっぺがぴくぴくしてるよ」
「ちぇっ、ばれたか。まあそりゃそうだろ、いつの時だって使ったことのない魔法を使う時は緊張するもんだ。失敗したら笑ってくれよな」
「失敗しなくったって笑うよ。私コーが失敗した姿なんか見たことないから、ちょっと見てみたいかも」
「お、言いやがったなこいつ」
抱っこされて部屋に向かいながら耳に甘噛みされると、お尻がむずむずしてきてコハクの首に腕を回して抱き着いた。
…物心ついた時から、この高い位置からの景色を見慣れている。
少しゆっくり歩いてくれるペースが好きで、少し揺れながら遠ざかっていく景色を見ながらコハクの真っ黒でさらさらな髪に指を潜らせると、片腕だけで抱っこし直したコハクがドアを開けて部屋に入った。
そこにはベビーベッドで眠っているベビーと、その傍らでいつからそうしていたのか…デスが優しい瞳で見下ろしていた。
その横顔が本当に綺麗で、何故この男に死神という酷な運命を背負わせたのかと叫んでしまいそうになる。
だがラスはコハクの腕から降りるとデスに駆け寄り、腕に抱き着いて骨だけの指と指を絡ませた。
「お守りをしてくれてありがとう。ぐずらなかった?」
「………大丈夫…。………俺も……いい子に…してた…」
「うん、よしよし。パーティー会場にご馳走が沢山あるから後で部屋に持ってきてもらうようにお願いしておくね。私これからコーと大切なお話をするから」
頭を下げてラスに頭を撫でてもらっていたデスは、ドアにもたれ掛って腕を組んでいるコハクを捉えると、唇を真一文字に引き結んだ。
「………不死の……」
「まあそういうこと。チビは俺やお前やオーディン、ローズマリーと同じ不死になる。もし失敗したら…お前も色々手伝えよな。失敗なんかしたらチビに爆笑されちまうからいっちょ気合い入れるかー」
そう言ってバスルームに行ったコハクは、服を脱ぐと、頭から冷水のシャワーを浴びて精神集中に努めた。
残されたラスは、ぐっすり眠っているベビーをこのまま寝かせておくことにして、デスの手をぎゅっと握った。
「コーは失敗なんかしないけど、もし…悲しいことになったら…コーをお願いね」
「………言ってる意味が……わからない…」
わかっているが、わかっていないふりをした。
パーティーはきっと朝まで続けられるだろう。
そしてその間に…
自分は、不死の身となるのだ。
「ねえコー、実はちょっと緊張してるんでしょ?ほっぺがぴくぴくしてるよ」
「ちぇっ、ばれたか。まあそりゃそうだろ、いつの時だって使ったことのない魔法を使う時は緊張するもんだ。失敗したら笑ってくれよな」
「失敗しなくったって笑うよ。私コーが失敗した姿なんか見たことないから、ちょっと見てみたいかも」
「お、言いやがったなこいつ」
抱っこされて部屋に向かいながら耳に甘噛みされると、お尻がむずむずしてきてコハクの首に腕を回して抱き着いた。
…物心ついた時から、この高い位置からの景色を見慣れている。
少しゆっくり歩いてくれるペースが好きで、少し揺れながら遠ざかっていく景色を見ながらコハクの真っ黒でさらさらな髪に指を潜らせると、片腕だけで抱っこし直したコハクがドアを開けて部屋に入った。
そこにはベビーベッドで眠っているベビーと、その傍らでいつからそうしていたのか…デスが優しい瞳で見下ろしていた。
その横顔が本当に綺麗で、何故この男に死神という酷な運命を背負わせたのかと叫んでしまいそうになる。
だがラスはコハクの腕から降りるとデスに駆け寄り、腕に抱き着いて骨だけの指と指を絡ませた。
「お守りをしてくれてありがとう。ぐずらなかった?」
「………大丈夫…。………俺も……いい子に…してた…」
「うん、よしよし。パーティー会場にご馳走が沢山あるから後で部屋に持ってきてもらうようにお願いしておくね。私これからコーと大切なお話をするから」
頭を下げてラスに頭を撫でてもらっていたデスは、ドアにもたれ掛って腕を組んでいるコハクを捉えると、唇を真一文字に引き結んだ。
「………不死の……」
「まあそういうこと。チビは俺やお前やオーディン、ローズマリーと同じ不死になる。もし失敗したら…お前も色々手伝えよな。失敗なんかしたらチビに爆笑されちまうからいっちょ気合い入れるかー」
そう言ってバスルームに行ったコハクは、服を脱ぐと、頭から冷水のシャワーを浴びて精神集中に努めた。
残されたラスは、ぐっすり眠っているベビーをこのまま寝かせておくことにして、デスの手をぎゅっと握った。
「コーは失敗なんかしないけど、もし…悲しいことになったら…コーをお願いね」
「………言ってる意味が……わからない…」
わかっているが、わかっていないふりをした。