魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
かたや2年ぶりにコハクと再会したラスと、

かたやつい先日までラスと会っていたような感覚のコハク――


だからこそ腕の中でにこにこ笑っているラスがあちこち変化していることをコハクはまだ俄かに信じることができないでいた。


「俺さ、ずっと眠ってたんだ。だからチビがこんな風になったことがまだ半分信じらんねえんだけど」


「こんな風ってどんな風?」


「爆発しそうな風!」


「でもコーは前に胸は大きくなくてもいいって言ったでしょ?あれは嘘だったの?」


ぷうっと頬が膨れ、大人びたとはいえ中身はあの時のままのラスは…コハクの手を引き寄せると、だいぶ育った胸に押し付けた。


「!ち、チビっ、ななななな何を…っ」


「爆発しそう?何が爆発するの?」


「出る!色々出る!!」


「コーの言ってること、やっぱり全然わかんない」


――2年という歳月で忘れそうになっていたコハクの大きな手…

長く細い指は繊細で、時がコハクを記憶の彼方に消し去ろうとしていたことに改めてぞっとして、唇を噛み締めるとぎゅっと抱き着いた。



「今私の目に前に居るコーは本物だよね?もう消えたりしないよね…?」


「チビこそ…実は四精霊たちが俺をからかうために見せた幻…じゃないよな?」



互いに互いを疑い、顔に触れ、髪に触れ、存在を確かめた。

そうしているうちに唇が重なり、激しく熱を吹き込まれ、ラスの真っ白で細い太股に手が伸びようとするのを必死に押し止め、なだめた魔王は枕元に置いていたサラマンダーの石を握るとラスに見せた。


「これで四精霊の石が集まったから人間界に帰れる。だけどチビ…これだけじゃ駄目なんだ」


「…え?また冒険しなくちゃいけないの?コーとまた離れ離れにならなくちゃいけないの?」


瞳が潤み、今にも泣き出しそうなラスの額にキスをすると、コハクはラス以外に見せたことのない笑顔で微笑み、優しく覆い被さると耳元で囁いた。



「俺とチビの物語はこれから始まるんだ。俺がずっと傍にいる。今度こそ離れたりしない。だからチビ…もうちょっと頑張ってくれ。俺のために」


「うん…うん…!」


取り戻すために――
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