魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが落ち着くまでずっと抱きしめてくれるコハクの腕は優しく、手を伸ばして頬に触れると赤い瞳に見入った。


「ねえコー…赤ちゃんは男の子と女の子のどっちがいい?」


「その質問はおかしいぜチビ。どっちもすぐ生まれるんだから選ぶ必要ねえだろ」


「すぐ生まれるの?どうして?」


「生まれるようなこと沢山するから」


しばらくぼんやりと意味を考えて、答えに行き着くとコハクに背を向けてむずむずと身体を動かした。


「これから…するの?」


「しねえよ。俺はまだ完全体じゃねえんだ。人間界に戻ってー、もうちょっとチビに色々頑張ってもらってー、そん後だな。…なんだよ、俺が欲しくなったのか?」


「ち、違うもんっ。コーの馬鹿、お尻触らないでっ」


「触るくらいいいじゃん」


「でも…私はひとりっ子だから子供は沢山欲しいな。コーは?」


「俺?俺は捨て子だからひとりっ子だったかどうかもわかんねえし。でも独りで長く生きてきたし、チビとのガキならバンバン欲しいぜ。カイとソフィーの家系は多産だったかなー、あとで調べとくか」


――コハクの“捨て子だから”という告白は以前聴いたことはあったが、それでも親から目も開いていない段階で水晶の墓場に捨てられたコハクの心情を想うといたたまれなくなり、寝返りを打つと向き合った。


「チビ似の娘が生まれたら絶対“パパ”って呼んでもらうんだ。そんでずーっと一緒に風呂に入って“パパと結婚する!”って言われてちょっと禁断の扉を開け…いやいやいや俺にはチビがいるんだからそれはない!いやでも…可愛いだろうなー、絶対美人になる!」


「男の子だったら?コーと同じ魔法使いになってもらいたい?」


「どうかな、強い男だったら別になんでも。俺は大人げなく息子とチビの取り合いするぜ。だからチビも俺を選べよな」


「ふふふ、コーの我が儘」


「それよかチビ…お前相変わらずガリガリだな。でも安心しろよ、俺が沢山食わせてすぐに寝心地良くさせてやるからな」


「うん、わかった」


…料理を覚えたのはまだ内緒。


コハクが完全体に戻ったら驚かせてやるのだ。

それを想像すると、ラスは笑いが止まらなくなった。

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