魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
それからのリロイの戦いぶりは凄まじいものがあった。
魔物が現れると真っ先に向かっていき、巧みに馬を操りながら的確に仕留めてゆく。
グラースの出番もほぼ皆無で、アダルト2人組はリロイを信用して相変らず博識クイズを繰り広げていた。
「リロイ…大丈夫ですか?」
「これ位平気です。それよりティアラ、急かしたくはないのですがなるべく早く上がって下さい。ここは危険ですから」
上りのライナー山脈で1番安全とされる中腹の地点で野営を張り、オーディンが泉の水を浄化する不思議な石と一瞬で水を沸騰させる石を泉に入れ、交代で泉に入る女性陣の警護をしていた。
腕や頬などにあちこち擦り傷ができたが魔法で治療する程のものではなく、ティアラが最後だったので泉に背を向けて辺りに油断なく目を光らせていると…
「私の夫となる方が…気になりますか?」
今までずっと気にしていたことを問われ、いつでも戦えるように立ったままのリロイの肩が震えた。
「…気にならないと言ったら嘘になります。…あなたが“結婚する”と言った時…正直ショックでした。おかしいですよね、僕はずっとラスのことを愛していたのに」
「…私はあなたのことを愛していました」
突然告白をされ、ざばざばと水を掻きわける音が近付いて来ると、すぐ背後にティアラが立っている気配がした。
ティアラからはっきりと愛の告白をされて戸惑っていると、それが過去形であることに少々の苛立ちと少々の悲しみを覚え、剣の鞘を掴む手に力がこもった。
「あなたはラスしか見えていなかった。けれど2年前まであなたは私の“勇者様”でした。私はラスには勝てない。ラスとずっと親友でいたい。…あなたとも。だから結婚するんです」
「…あなたが結婚するのは…僕のせいだと言うのですか?」
「わかりません。ですが私も前進しなければ。リロイ…またあなたとこうして旅ができて嬉しい。そしてあなたの幸せを願っています」
「ティアラ…」
――振り向きたい。
一途に想ってくれていたティアラが自分の残像を振り切るために結婚すると言うのだから、〝関係ない”とは言わせない。
「きゃ…っ!」
叫び声に振り返ると――
魔物が現れると真っ先に向かっていき、巧みに馬を操りながら的確に仕留めてゆく。
グラースの出番もほぼ皆無で、アダルト2人組はリロイを信用して相変らず博識クイズを繰り広げていた。
「リロイ…大丈夫ですか?」
「これ位平気です。それよりティアラ、急かしたくはないのですがなるべく早く上がって下さい。ここは危険ですから」
上りのライナー山脈で1番安全とされる中腹の地点で野営を張り、オーディンが泉の水を浄化する不思議な石と一瞬で水を沸騰させる石を泉に入れ、交代で泉に入る女性陣の警護をしていた。
腕や頬などにあちこち擦り傷ができたが魔法で治療する程のものではなく、ティアラが最後だったので泉に背を向けて辺りに油断なく目を光らせていると…
「私の夫となる方が…気になりますか?」
今までずっと気にしていたことを問われ、いつでも戦えるように立ったままのリロイの肩が震えた。
「…気にならないと言ったら嘘になります。…あなたが“結婚する”と言った時…正直ショックでした。おかしいですよね、僕はずっとラスのことを愛していたのに」
「…私はあなたのことを愛していました」
突然告白をされ、ざばざばと水を掻きわける音が近付いて来ると、すぐ背後にティアラが立っている気配がした。
ティアラからはっきりと愛の告白をされて戸惑っていると、それが過去形であることに少々の苛立ちと少々の悲しみを覚え、剣の鞘を掴む手に力がこもった。
「あなたはラスしか見えていなかった。けれど2年前まであなたは私の“勇者様”でした。私はラスには勝てない。ラスとずっと親友でいたい。…あなたとも。だから結婚するんです」
「…あなたが結婚するのは…僕のせいだと言うのですか?」
「わかりません。ですが私も前進しなければ。リロイ…またあなたとこうして旅ができて嬉しい。そしてあなたの幸せを願っています」
「ティアラ…」
――振り向きたい。
一途に想ってくれていたティアラが自分の残像を振り切るために結婚すると言うのだから、〝関係ない”とは言わせない。
「きゃ…っ!」
叫び声に振り返ると――