ボクは桜、キミは唄う
「楓花、K高で変更なし?」

シャーペンを走らせながら、ナカちゃんが聞いてきた。

「うん。もう決めたんだ。迷わないよ」

「そっか……」

「ん?ナカちゃん、もしかして迷ってる?」

女に二言はないって言ってたのに?

「──さっき、進路相談でさ、もっと上を目指してもいいんじゃないかって山崎に言われたんだ」

「上?」

「うん。この間の模試の前、楓花と一緒に勉強したじゃん。そしたら結構苦手なとこ克服できてさ、予想以上に結果良かったんだよね。

この調子で頑張れば、楓花と同じとこも目指せるって言われて……」

「K高??」

「うん」

うそ!めちゃくちゃ嬉しい!!

「行こう!ナカちゃん!一緒に頑張ろう!!」

私はナカちゃんの手を握ると、飛び上がって喜んだ。

「ま、まだ決めてないよ?まだわかんないし。たまたま前回良かっただけだし。さすがに高校受験失敗はしたくないしさ」

そっか……。

「でも、K高ならそんなに遠くないし、親も許してくれるかも」

てことは?

ナカちゃんは親指立てて

「楓花は私がそばにいなきゃ心配だしね」

と、ニッと笑った。

「ナカちゃーん!!」

「だから、まだ決定じゃないって」

「うんうん」

「ちゃんと勉強付き合ってよ?K高なんて、楓花と違って私なんて落ちるために受けるようなもんなんだから」

「大丈夫!大丈夫だよ!一緒に勉強しよー!」



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