ボクは桜、キミは唄う
放課後、ナカちゃんは進路のこと相談すると行って、北川君の教室へ向かった。

3年生は部活も引退し、最近は北川君とナカちゃん、仲良く一緒に帰ってる。

ラブラブという感じではないけど、一緒にいることが凄く自然な二人。

「あ、楓花ちゃん、帰らないの?」

玄関とは逆方向の階段を上ろうとしていた私に、ちょうど上から降りてきたアキちゃんが声をかけてきた。

「うん。図書室に資料返して、空いてたら少し勉強していこうかなと思って」

学校で勉強すると、わからないとこもすぐに先生に聞きに行けるから便利なんだ。

「そっか」

ちょっと気まずそうに、隣のナオちゃんをちらっと見るアキちゃん。

「一人で?」

ナオちゃんが聞いてきた。

「うん。一人だよ?」

「今日は、行かない方がいいよ、図書室」

「なんで?図書室、何かあるの?」

「──なんとなく」

「止めたって仕方ないじゃん」

アキちゃんがナオちゃんをなだめる。

どうしたんだろう?

「ごめん。頭ではわかってるんだけどさ。そうだよね。頑張ってね」

そして、少し寂しげに微笑むと、ナオちゃんはアキちゃんと一緒に帰っていった。






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