海上船内物語
「お前、剣、・・・・・・・・・」
青い顔をして、カイルを見る船員。
そのすぐ隣をすり抜け、カイルは後ろに迫っていた海賊をひとり、斬り捨てた。
死神船員の隣の足元に、動かなくなった頭蓋骨が落ちる。
「・・・・もう見境無しに、殺さない・・・。
アキと、約束したんだ。私は本当に、死神船の仲間だってこと」
カイルは小さく呟くと、そのまま船員の前を去り、嵐のような勢いで、敵を切り捨てていく。
カイルを取り巻く全てが、血色に染まったようだった。
少しずつ、変わってきた空気に誰もが皆、カイルのほうを振り返る。
傷一つなく、真っ赤な血は全て返り血。
息を呑むような速さで迫り、あっという間に斬りつけられる。
二刀の刃が目をかすめて、見えない内に、息が途切れる。
「・・・・あいつ、誰だ・・!!」
「何で女が死神船なんかに・・・・・」
どよめく海賊軍に、カイルは突き進んで行く。
不意に、ぴたりとカイルの足は止まる。
「ウル」
カイルの正面に、黒く短い髪をしたウルが、剣を構えて海賊を一人斬り捨ていた。
ウルもカイルに気付いた様子で、振り返ると笑みを浮かべた。