ラブラボ! ~恋は華麗な復讐ゲーム~
訊ねると、雪美はコクリと頷いた。



「私、焦ってたの。一度も男の人と付き合ったことないし、まともに話したことすらないし、このままじゃダメだって思ってたの。だから、彼に声をかけられたとき、そんな自分を変えたいと思った。変えられるって思ったの。だから……」



なるほどね。



その気持ちは、わからなくもない。



というより、その気持ちは、だいぶ共感できるかもしれない。



別に、早く経験すればいいってものじゃないし、経験人数が多ければいいというものではないと思う。



でも、やっぱり年頃の乙女としては、周りと自分を比べて、焦ってしまうのよね。



「それで、そのナントカくんって、どんな人なの?」



相手が星陵と聞いて、一瞬ひるんでしまったけれど、雪美のためにもここは一肌脱がなくっちゃ!



そう思った私は、自分を奮い立たせるように力強く訪ねた。



ところが、待ってましたとばかりにスラスラと返ってくる雪美の言葉に、私は額に冷や汗が浮かびそうになる。



雪美は、私の質問に、目を輝かせてこう答えたの。



「彼はね、幼稚舎から星稜に通う、はっきり言って生粋のセレブなの。学校への送迎はロールスロイスで、普段身に着けてる服や装飾品は、最低でも500万はくだらないという話よ。頭の方も、中学から高校の途中までスイスの名門男子校に留学していて、英・仏・独・伊語はペラペラだし、学校の授業は教科書を一度読んだだけで理解できるという逸話まであるわ。それだけじゃないのよ。音楽の才能もギターだけじゃなくて、ピアノやヴァイオリンもコンクール上位入賞の常連だし、絵画の腕前は、故・鴫野松英氏に直々に指導されるほどで、それから・・・・・・」



あ、どうしよう。



別に、他人を僻んだり、嫉妬したり、自分の現状と比べて地団太踏んだりするわけじゃないけど、なんか素直に聞けない。



ここまではるかに予想を超えられると、もはや日本語じゃなくて、今まで耳にしたこともないような言語に聞こえてくる。



これってもしかしなくても、庶民の妬みってやつかしら?



そして、雪美の表情が、若干嬉しそうで、頬が紅潮してるように感じるのは気のせいかしら?
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