Re:alism
「…休憩延長で来たっだから後でまた会社戻る」


…そっか…祝詞さんは私のこと心配して来てくれたんだもんね



祝詞さんの所持品が煙草と家の鍵だけなことに気付いた



「…俺さ」


祝詞さんの声にテレビから視線を外すと、私の頬に大きくて温かな手が優しく触れた


「祝詞さ…?」


「本当に美のこと好きみたい」



そんな言葉を聴くのはいつものことだけど、やっぱりその瞳に見つめられると心が揺れる


「…どうしたんですか?またまた~」


照れ隠しに笑顔をつくり、祝詞さんの肩を軽く叩いた



「…さっき、あのガキと2人でいるの見たとき嫉妬した。あいつに嫌な思いさせられたって聞いたときムカついた。」



…どうしよう


「…本気で美のこと…守りたいって思った」


心が揺れる

気持ちが───


「…私も…そんなことばっか言われると───うかも」


確実に祝詞さんに傾いている



「…?今何て───」


「…好きになっちゃう…かもっ!!」



「…かもって何だよ!」


髪をクシャクシャにされた



と思ったら、動きを止め背中に回された両手


包み込むように抱かれた



「…美…俺さ、何か今…触れたい気分なんだけど」



耳元の囁き


私だって年頃だし、初めて会った時にもこんなことがあったから“触れたい”の意味は分かる



私も…祝詞さんのこともっと知りたい



でも


「────ごめんなさい…」


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