約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く

でも……正直、少し安心したのも確かで……。


あのまま沖田さんと一緒に居続けるなんて
息が詰まりそうで、とても持ちそうになかったから。 

 
その後、斎藤さんに連れられて京の町を散策した。

晋兄や義助たちと一緒に留まった旅館もこの町にはある。


ふとその場所で立ち止まって、
外から旅館を見つめる。



「気になるのか?
 長州の奴らが……」


斎藤さんの問いかけに私も素直に頷いた。

彼の前だけでは、偽る必要なんてないから。

屯所から晋兄たちの元に帰った時も
彼は……送り届けてくれた人だから。



「はいっ。
 気になります。

 私にとっては……大切な人だから」



そう……私にとっては大切な人。



誰になんて批判されても、
私は大好きな晋兄や義助たちを助けたい。

その為には……今の私だから出来ること
しっかりしなきゃ。



……もう……もう二度と後悔したくないから。


その日、私が向かう先々に斎藤さんはついてきてくれて、
そして……お団子を奢ってくれた……。

後は……思いがけないプレゼント。


瑠花の部屋を訪ねるとき、私の腕を掴んだのは、
私に手渡したいものがあったから……だった。

掌にのせられたのは、小さな金平糖が少し。


「私に?」



そう紡いだ言葉に斎藤さんは静かに頷いた。


一口、口の中に放り込むと
砂糖の優しい甘さが広がっていく。


その優しい甘さが、
疲れていた心をゆっくりと包み込んでくれる。



「美味しいです……。
 有難うございます」


一粒、食べ終えて彼に有難うを伝える。


偏見じゃダメなんだ。


あの場所だから信じられないんじゃない。

決めつけるんじゃなくて
見極めないと……。


未来は……自分で生み出すものだから。



この世界に来て、初めてそう思えた瞬間、
ゆっくり動き始めた……私の未来……。




私は……大切な人を守りたい。

その気持ちを大切にしてもいいですか?





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