約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


「行かなきゃ」




稲光が空一面に広がる中、
私は沖影と共に道場を飛び出す。





沖影の真上に落ちた稲光は、
そのまま空を切り裂いて……
私は真っ暗な世界に吸い込まれた……。



  








目が覚めた時……私は古びた、
小さなお堂のような場所に居た。




「えっ?」




ゆっくりと体を起こして、
沖影を探す。


沖影は壁に立てかけられていた。



沖影に手を伸ばして、
お堂の扉へと近づく。



外に誰かいる?



気配を感じて、息を潜め身を縮めながら、
その瞬間を待つ。





ゆっくりと扉が開かれて、
足を一歩踏み入れたとき、
沖影を大きく振りかざした。





私の切っ先をすーっと翻ってよけると
聞きなれた声が降り注いだ。



「なんや、花桜ちゃん。
 つれへんなー。

 よーやく見つけた言うのに……」



えっ?

この声……。



「……山崎さん……」



沖影を手にしたまま剣をおろして
立ち尽くした私をがばっと胸元に抱き寄せる山崎さん。


えっ?



「お帰り。
 オレの子猫ちゃん……」



この呼び方……。


帰って来たんだ……。
私の世界(居場所)に……。




「ただいま」



山崎さんの腕の中、小さく紡いだその言葉に、
山崎さんは強く私を抱きしめ返した。

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