約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く




私が着物を仕立てることが
出来たら……いいのに……。




そんな夢みたいなことを
思いながら、手に取っていく反物。






だけど私の手持ちで足りるはずもなくて、
それぞれに、一つずつ風呂敷を手に取って購入する。




風呂敷だったら使い道はあるよね。



二人がびっくりして喜んでくれる姿を想像しながら、
そのお店を後にして急ぎ、
宿へと帰っていたとき急ぎ走る私の体は、
衝撃と共に跳ね飛ばされた。





「おいっ。

 貴様、俺たちにぶつかっておいて
 いうことはねぇのか」




三人ほどいる男たちはゆっくりと詰め寄ってきて
私の着物の胸ぐらを掴んで立ち上がらせるみ。




怖くて力の入らない体。





相手から目を逸らすことしか
出来なくて、心の中……
義助さんと晋作さんの名前を唱える。






……助けて……。




殺される……。





そんな怖さが、
押し寄せて目を閉じたとき、
背後で音が聞こえて私の体は空を泳ぐ。








えっ?







「よっと。

 ちょっとしがみついてろよ」




そんな声が聞こえて、
必死にしがみついた時間の後、
私は地面へと自分の足で立たされた。

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