華麗なる偽装結婚
…おかしいわ。
これはあってはならない事よ。
「阿美子ちゃん……」
社長の長い腕がそっと私に向かって伸びてくる。
ここには愛なんて全く無いの。
こうなっているのは、偽装結婚をするためなのよ。
そんな目で見ないで。
私を愛してなどいないくせに。
「やめて」
私の一言に私に伸びてきていた社長の手がピクリと止まった。
「抱き締めたり見つめたりなんておかしいわ。
…私達は……本物ではありませんわ」
「あ…あ、そうだね…。
ごめん、ちょっと勘違い」
「………」
困り笑いを浮かべながら社長はそのまま脇のソファーにストン、と腰かけた。
「女性があまりにも綺麗だとさ、触れてみたくなるんだ。
……病気だね」