華麗なる偽装結婚

……もう、何とも思わないのか。
君にとって俺は、本当にその程度の男か。

もう、ショールームの配置しか頭にないのか。


「社長?」

「……あ、ああ。すまない。
……何だっけ」


「しっかりなさって下さい。
もう着きますので。
ああ、また時間が足りないわ。
視察は二十分で終わらせないと。

昼に行うはずだった会議は夕方に変更致しましたので、今日はお帰りが二時間遅れますがよろしいですか」


「……うん」


俺は何だかやりきれない気持ちに支配されていく自分に少し同情しながらうなずいた。




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