華麗なる偽装結婚
「それは偶然だな。
俺もおじい様に会っていただきたい大切な人を連れて来たのです。
先に紹介させていただいてもよろしいですか」
「……大切な人?…」
俺がそう言った直後、じいさんの目がキラッと光った。
俺は物怖じせずに後ろに隠していた阿美子を前に押しやった。
彼女はドレスの裾をふわりと両手で軽く持ち上げて優雅にお辞儀をした。
顔を上げてじいさんを正面から見据え、はっきりとした口調で言った。
「佐倉会長。
お初にお目にかかります。
佐倉物産、佐倉怜社長の第一秘書を勤めさせていただいております、
稲田 阿美子と申します。
お誕生日、おめでとうございます。
この度、佐倉社長と結婚のお約束をさせていただきました。
末長くお付き合い下さる事をどうかお許し頂きたく、こうしてご挨拶に参りました。
このような大切な場に突然参上致しました失礼をどうかお許しくださいませ」