華麗なる偽装結婚
「…はい。……どうぞ」
……それだけ言うのが精一杯だった。
「阿美子さん、よろしいかな?」
「はい。是非。お願い致します」
じいさんに手を引かれて歩いていく阿美子と、じいさんの後ろ姿を信じられない気持ちでじっと見る。
………何が……、どうなったんだ?
じいさんが、まるでこれまでとは別人のようだ。
いともあっさりとお膳立てした婚約者を追い払い、阿美子とダンスを踊っている。
これは………。
これも、彼女の持つ力なのか。
あの、堂々とした態度。
優雅な振舞い。
気品に満ちた仕草。
他人の目を惹き付ける美しさ。