華麗なる偽装結婚
だが例えそれが今だけの終わりが前提のものだとしても、やはり結婚するのだから、…このくらいは躊躇わずに出来ないと。
「阿美子ちゃん」
「え」
こちらを向いた彼女の頬をそっと包んで顔を近付ける。
「え?え?」
「…目を閉じて」
「えっ…、社長…」
そのままその柔らかく小さな唇にそっと触れる。
…しっとりと、絡みつくように…。
「…んん…!?」
俺の突然の奇行に驚いている彼女は抵抗する事をすっかり忘れて固まっている。
俺は瞳を閉じてそのまま彼女の唇をゆっくりとなぞった。
薄く目を開けて彼女を至近距離から見つめる。
驚きながらも次第に瞳がトロリと潤み出す彼女を見てわずかな衝撃を受ける。
――いつもの阿美子ちゃんからは想像すら出来なかった。
君はこの溢れるほどの色香をどうしてひた隠しているのか。
今までに出会った女の中でも一番綺麗にすら思える。
いつもの俺達の調子とはかけはなれたこのキスに俺は彼女以上に明らかに酔っているみたいだ。