愛を教えて
「知るかよ。目の前にいたから抱いてやったんだ。それを、あっちが勝手に勘違いしただけだぜ。俺は女にはうるさくないんでね。でなきゃ、お前みたいな女まで抱くかよ。お前って下はユルイしさ……コレだけだよな」


太一郎は下品な言葉を吐きながら、あずさの胸を鷲づかみにした。


近づいた太一郎からアルコールの匂いがして、あずさは顔をしかめる。
どうやら、朝から飲んでいる訳ではなく、昨夜のアルコールが抜けていないらしい。

パシッと太一郎の手を叩き落とし、立ち去ろうとしたあずさだったが……。

ふと、あることを思い付き、立ち止まった。


「そうだ。いいこと教えてあげる」


あずさの妖しい笑みを浮かべて、太一郎を見た。


「なんだよ、いいことって」

「あんた寝てて知らないんでしょ? 今、卓巳が結婚したいって女をこの家に連れて来てるのよ」


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