愛を教えて
そんな簡単な答えがあったとは……長年、悩み続けたのが嘘のようだ。

だが、それと同時に、卓巳はひとつの可能性に気づいてしまう。


「……君も、そうなのか? 好きな男子に」


万里子は頬に手を当て、少し考えている。

小学生の万里子が誰を好きであったとしても、深く考える必要などない。
卓巳は自分にそう言い聞かすが、どうにも落ちつかない。

やがて万里子は口を開いた。


「私は……多分、家に持って帰ったと思います」


その返事にホッとする。

だが、


「父に半分あげて、残りの半分は……俊介さんに」


卓巳の心は一瞬で凍りついた。


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