愛を教えて
卓巳ははかりごとに長けている、と思っていた。
だが本当は、感情的な性格を隠すため、冷酷な仮面を被り『氷のプリンス』などとマスコミに書かせているのではないか。

宗は、卓巳の言う“政治業者”とのやり取りに、ヒヤヒヤしながら、そんなことを考えていた。

何しろ、仕事以外で卓巳がこういった席にいるのは初めのこと。
公式な場所に女性を同伴したこともなかった。

そんな卓巳が女子大生と電撃結婚。
おまけに、あのキスシーンだ。

いやでも新婚夫婦の夜の生活が話題になる。
そして、相手の関心が万里子の容姿に及ぶと、てきめん卓巳の表情は曇った。


「門から叩き出すのではないかと、ビクビクしておりました」

「ああ、奴か。あの男なりに褒めてるつもりなんだろうな。女性の美点をセックスから切り離せない愚か者だ。放っておけ」


どうやら、今日の卓巳はご機嫌のようだ。
宗は、ちょうどよいと判断し、卓巳に提案をした。


「社長、もうよろしいのではありませんか?」

「何がだ?」


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