愛を教えて
「ロンドンで行われるレセプションパーティに合わせて、ハネムーンの日程を組ませていただきました。出発は……」
卓巳はデスクの前に座り、手にした眼鏡を指先でくるくると回す。
車の運転中もそうだが、仕事中は眼鏡をかけることが多い。
視力が悪いのは確かだが、仕事に支障が出るほどではない。ただ、卓巳の上品で整った父譲りの顔立ちは、ともすれば頼りなく映る。
そのため、スーツも落ちついた色を選び、少しでも年齢以上に見えるよう努力を怠らなかった。
「今回、私の同行は不要ということですので、レセプションパーティ以外の仕事は入れませんでした。しかし社長、真冬のロンドンは寒いですよ。どうせなら暖かい……社長? 社長っ!」
「え? ああ、ロンドンか。いいんだ、万里子が……行きたいと言ったんだ」
答えながら、卓巳はため息をついた。
(我ながら……情けないというか……)
ここ数ヶ月、卓巳の生活の中心は万里子だった。
美味しいと言われるレストランに案内されると、次は万里子も連れて来ようと思い、美しい景色を見れば、彼女にも見せてやりたいと思う。
万里子に似合うものは? 万里子なら何が喜ぶだろうか?
そんなことばかり考えている。
そしてとうとう卓巳は観念した。
卓巳はデスクの前に座り、手にした眼鏡を指先でくるくると回す。
車の運転中もそうだが、仕事中は眼鏡をかけることが多い。
視力が悪いのは確かだが、仕事に支障が出るほどではない。ただ、卓巳の上品で整った父譲りの顔立ちは、ともすれば頼りなく映る。
そのため、スーツも落ちついた色を選び、少しでも年齢以上に見えるよう努力を怠らなかった。
「今回、私の同行は不要ということですので、レセプションパーティ以外の仕事は入れませんでした。しかし社長、真冬のロンドンは寒いですよ。どうせなら暖かい……社長? 社長っ!」
「え? ああ、ロンドンか。いいんだ、万里子が……行きたいと言ったんだ」
答えながら、卓巳はため息をついた。
(我ながら……情けないというか……)
ここ数ヶ月、卓巳の生活の中心は万里子だった。
美味しいと言われるレストランに案内されると、次は万里子も連れて来ようと思い、美しい景色を見れば、彼女にも見せてやりたいと思う。
万里子に似合うものは? 万里子なら何が喜ぶだろうか?
そんなことばかり考えている。
そしてとうとう卓巳は観念した。