愛を教えて
黒い大きな瞳がじっと卓巳を見上げている。心の奥まで覗かれる気分だ。数週間ぶりの熱いまなざしに、卓巳の胸は高鳴った。

張り詰めた空気が突然ふわっと緩み……花が咲いたように笑った。

その一瞬で、卓巳の心は薔薇色に染まる。


「私はかぐや姫じゃありません。こんなに、愛してるっておっしゃったら、卓巳さんのせいにしますよ。あなたが私を愛してるって言ったのに、って」

「ああ。人に聞かれたときは、こう答えたらいい。――泣いて結婚してくれって言うから、仕方なく結婚してあげたのよ、ってね」

「……あなたのこと見つめてもいいですか?」

「いいけど、そのたびに僕のキスを受けることになるかもしれないよ」

「人前でなければ……」

「じゃ、この部屋ならOKだな」


卓巳の声が途切れて、ふたりの影が重なった。
その影はしばらくひとつのままで、離れることはなかった。


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