愛を教えて
遊歩道沿いの並木はキラキラとイルミネーションに彩られていた。

人気のイルミネーションスポットにも負けないくらいの光の海だ。

万里子にすれば、ここまで本格的なものを考えてはいなかった。
ところが、卓巳は万里子の話を聞くと庭師に命じて……あとは言わずもがな、である。


節電のため、夜の十時には消灯している。だが、今夜はクリスマス・イブ。今夜だけは、ひと晩中点灯することに決めていた。

最終便に間に合えば、零時過ぎに卓巳は邸に戻れるはずだった。

だが、今はもう午前二時。


眠れない万里子は卓巳に渡すはずだった長めのマフラーを手に、遊歩道まで出て来ていた。


光のシャワーを浴びながら、万里子は遊歩道の真ん中辺りにあるベンチに腰かける。

ひとりになると、知らず知らずのうちに皐月の言葉が頭をよぎり、目頭が熱くなった。


来年も再来年もその次も、きっと卓巳は万里子の隣にいてくれるだろう。

でも万里子が妻でいる限り、卓巳は跡継ぎを儲けることができない。

一年や二年は何も言われずとも、いずれハッキリさせなければならない。卓巳の名誉のためにも。


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