愛を教えて
「あずささぁん。見せて見せてぇ! あたしも見つけたのにぃ、浮島さんに取り上げられちゃったんですぅ」


かんなは太一郎の夜遊びがなくなり、同行できなくなって欲求不満なのだ。


「この身体にぃ、卓巳様も骨抜きにされちゃったんだぁ」


しかも悪気なく、軽薄に騒ぐタイプの娘だった。

そして今回のことに、悠里と美和子も困惑していた。


「でも、これってこの間の、でしょ? そういう関係だから、あんな目に遭ったのに平気で部屋に入って行ったってこと?」

「清楚なお嬢様の顔が全部芝居なら……凄いって言うより怖いんだけど」

「卓巳も太一郎も、あの清純ぶった『似非《えせ》お嬢様』にまんまと利用されてるのよ。最近じゃ、孝司だって言いなりじゃない。引きこもりのオタク坊やなんて、楽勝でしょうねぇ」


あずさはここぞとばかりに声を張り上げた。


「それは回収って浮島さんに言われたでしょう! 第一、こんなみえみえの合成写真がどうだっていうのよ!」


怒鳴りながら、かんなの手から怪文書を取り上げたのが雪音だ。

雪音と万里子の立場は明らかに違う。
現代でも身分違いというものは確かに存在する。だが、不思議とふたりの間には友情が芽生えつつあった。

儚く無防備に見えて強い、それは雪音から見た万里子の印象だ。


< 484 / 927 >

この作品をシェア

pagetop