愛を教えて
目を背けたくなるようなショットの中に、万里子の写真もある。
太一郎にベッドに押し倒されたときと、そこから起き上がり窓際に立ったときの二枚。

卓巳はこの写真を見て怒っているのだろうか?

万里子はそんなふうに考えて口を開いた。


「確かに、太一郎さんの部屋に行きました。でも、シェフにお昼を作っていただいて、お持ちしただけです。そのときの写真が二枚ありますが、他は絶対に私ではありません!」


だがその直後、尚子は恐ろしい台詞を口にしたのだ。


「嘘ではない証拠に、あたくし、太一郎さんから聞きましたのよ。あなた……高校時代にレイプされたことがあるんですって?」


万里子の中で時間が止まった。


心臓も鼓動を停止したかのようだ。


万里子は衝撃のあまり声が出ない。


「過去の罪を死んで詫びたいと言う太一郎に、心からの謝罪があれば許すと言ったそうじゃないの。あの子は、その言葉にほだされたと言ってましたわ。そういう目に遭われたのはお気の毒だけれど、それを隠して嫁ぐなんて……まるで詐欺のようなものね」


太一郎は言った『いいのかよ、俺なんかに言って。もし、言いふらしたら』


(本当に話したの……信じた私が愚かだったの?)


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