愛を教えて
「馬鹿にしないで! どうせ私は普通に結婚もできない、惨めな欠陥品だわ。でも、だからって、どうしてあなたにベッドの上でおもちゃにされなきゃならないの? 酷いわ。愛するフリまでして」

「酷いのはそっちだろう。勃ちもしないコイツを、君の身体に擦り付けて……悦んでる僕を見て面白かったか? さぞ滑稽だったろうな」

「そうですね。私が欠陥品ならあなただって……なのに、どうして私ばかり責めるの? こんなふうに押し倒したって、どうせ本当にはできないくせに!」


万里子の叫びに、卓巳は完膚なきまでに叩きのめされた。


卓巳はふらふらと立ち上がり、再びスーツを着る。

それは普段の彼らしくもなく、だらしなく着崩れていた。


「出てくる……今夜は戻らない」


万里子は卓巳を見ようともせず、何も答えない。

卓巳も、返事を求めてはいなかった。


愛はふたりの距離を縮め、近づき過ぎてぶつかり――再び、砕け散った。


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