愛を教えて
万里子は傷ついた獣を撫でるように、ゆっくりと手を差し伸べ、卓巳の頬に優しく触れる。


「そんな訳……ありません。私のすべてはあなたのものよ」

「怖い。奪われそうだ。勝負に勝っても、君の心を奴に奪われたら……万里子」


卓巳はコートも脱がず、そのまま、正面から万里子を抱き締め、唇を重ねた。

シッティングルームにはソファに合わせた低いテーブルと、ダイニングの高さの円形テーブルがある。

白い円形テーブルは繊細な作りだが四本の脚はしっかりしていて、卓巳はその上に万里子を押し倒した。


キスはしだいに深まり、万里子の真っ白い喉元や首筋をなぞり、胸元に下りてくる。卓巳は片手で首の裏にあるボタンを外した。


「あ……」


万里子の小さな声が聞こえ、ホルターネックが緩む。

下着をつけていない両方の頂が露わになり、外気に晒された。卓巳はそこに口づけながら、安堵の吐息を漏らす。


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