愛を教えて
ジェームズ・サエキが玄関のドアを開き、閉じようとした瞬間――扉の影から伸びた手に襟首を掴まれた。
その腕の主を知り、ジェームズの喉から空気が漏れる。目は見開かれ、口は酸欠の金魚のように開閉を繰り返した。
『……ひぃ』
『この私から本気で逃げられると思ってるのか? 地獄の果てまで貴様を追い詰めてやる!』
憤怒の形相で卓巳はロンドン本社の元社長ジェームズを睨みつけた。
ジェームズは両脇に抱えたバッグで卓巳の腕を振り払い、ついでに荷物を投げつけ、逃げ出した。
卓巳は悲鳴を上げる女は無視し、ジェームズを追う。しかし、相手は五十代後半の中年男、階段を必死で駆け下りるが……。卓巳にすれば、とくに急ぐ必要もない。
ジェームズの足が地面に着いた瞬間、卓巳は彼の尻を蹴り飛ばした。
ジェームズはつんのめり、土の上に転がる。卓巳は大股で近づくと、首根っ子を掴み引っ張り上げ、アパートメントの壁に顔面を押し付けた。
『ご、ごか、誤解、です。会社の、ためを考えて……仕方なく。サーに逆らうことは……私は会社の』
『言い訳は無用だ。君の口座はすべて凍結された。国外逃亡は不可能だ。本日中に、君には逮捕状が出て、身柄を拘束される。さあ、どこに逃げる?』
抑揚のない卓巳の声に、ジェームズは真っ青だ。
その腕の主を知り、ジェームズの喉から空気が漏れる。目は見開かれ、口は酸欠の金魚のように開閉を繰り返した。
『……ひぃ』
『この私から本気で逃げられると思ってるのか? 地獄の果てまで貴様を追い詰めてやる!』
憤怒の形相で卓巳はロンドン本社の元社長ジェームズを睨みつけた。
ジェームズは両脇に抱えたバッグで卓巳の腕を振り払い、ついでに荷物を投げつけ、逃げ出した。
卓巳は悲鳴を上げる女は無視し、ジェームズを追う。しかし、相手は五十代後半の中年男、階段を必死で駆け下りるが……。卓巳にすれば、とくに急ぐ必要もない。
ジェームズの足が地面に着いた瞬間、卓巳は彼の尻を蹴り飛ばした。
ジェームズはつんのめり、土の上に転がる。卓巳は大股で近づくと、首根っ子を掴み引っ張り上げ、アパートメントの壁に顔面を押し付けた。
『ご、ごか、誤解、です。会社の、ためを考えて……仕方なく。サーに逆らうことは……私は会社の』
『言い訳は無用だ。君の口座はすべて凍結された。国外逃亡は不可能だ。本日中に、君には逮捕状が出て、身柄を拘束される。さあ、どこに逃げる?』
抑揚のない卓巳の声に、ジェームズは真っ青だ。