愛を教えて
「いや、いや……助けて! いやぁ、見ないで……お願い……見ないで」


止めるソフィの手を振り切り、万里子は卓巳のほうへ、いや、バスルームに向かって走ってくる。


「万里子っ! 落ちつけ、落ちつくんだ! もう大丈夫だ。大丈夫だから」

「ダメなの。綺麗にしなきゃ……身体を洗わないと、卓巳さんに二度と会えないのっ!」


万里子は目を覚ました途端、パニックの発作に見舞われたようだ。自分の腕を掴んでいるのが卓巳だとわからないらしい。


『私、すぐにドクターに連絡してきます』


ソフィは部屋から飛び出そうとした。


『ダメだ! 連絡はしなくていい』


卓巳はソフィを引き止める。そして、万里子を抱え上げベッドに連れ戻した。


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