愛を教えて
万里子はしゃくり上げながら、涙をぽろぽろ零した。

夢の中の卓巳に抱きつき、心に溜めた忌まわしい思いを吐き出す。


「四年前に死んでしまえばよかった。そうすれば、あなたを巻き込まずに済んだのに。堕ちるのは私ひとりでよかったのに」

「万里子……生きるのはそんなに苦しいのか? 僕がそばにいても、耐えられないほど辛いのかい?」

「苦しい、苦しいわ。死んでしまいたい。あの子と一緒に、死ねばよかった。お願い……もう、楽にして」


涙で卓巳の表情が見えない。

ひたすら沈んで行く万里子の心に、思いもよらない卓巳の言葉が響いた。


「わかった。なら、僕と一緒に死のう」


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