愛を教えて
そんな妻に、落雷にも似た欲情を覚えつつ、


「大丈夫だよ。僕はスタートが遅いから、六十でも現役だ。ああ、そうか。一日二回なら、二万回は君を愛せる」 


あからさまな卓巳の言葉に、万里子の頬は桜から薔薇へと色を変える。


「ひょっとして……そんな大きなことを言って大丈夫? って思ってるのかな?」

「ち、違います。私は」


ついさっき、吐息でなぞった万里子の指を、卓巳は力強く握り締める。そして、バスローブの下に誘導した。万里子の手は少し冷たくそして柔らかかった。いや、卓巳自身が燃えるように熱いだけかもしれないが。

万里子は卓巳の身体に触れ、怯えた表情を浮かべた。

卓巳は一瞬「しまった!」と思ったが、万里子は再び、今度は自分からそうっと卓巳に触れてきた。


「驚いたかい? いや、正直に告白しよう――僕も驚いている。キスを始めてからこの状態なんだ。万里子、“奇跡”をふたりのものにしたい」


卓巳の言葉に万里子は、小さな声で、でもしっかりと、「はい」と答えた。


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