愛を教えて
『今日は泊まりなんです。夜中に預かって欲しいとか、熱が出てドクターを呼んで欲しいと言われることもありますから』


学生ボランティア以外に働いたことのない万里子にとって、十六歳から生活のために働いてきた、というソフィの存在は眩しい。

だが、新婚の万里子とプロポーズされたばかりのソフィの場合、話は自然にパートナーのことになる。


『本当に、オーナーご夫妻のおかげです。私みたいな女が、ジェイクのような男性と結婚できるなんて……今でも夢を見てるみたい』


ソフィは指輪を眺めうっとりしている。

すぐに指輪を贈る辺り、ジェイクも抜け目がないわ、と万里子も感心していた。

意識が戻った翌日、ソフィには付き添いのお礼を言い、それからも何度か話しをした。卓巳の教えてくれたとおり、慎ましく真面目な人柄に、万里子も親しみを感じている。


『ジェイクのほうがラッキーだと主人が言っていたわ。ソフィは素晴らしい女性だ、って。あんまり褒めるから、実は下心があったんじゃないかと思ったくらいよ』


万里子は冗談めかして、少しだけ本音を口にした。

卓巳の場合、まるで下心がないから褒めるのだとは思うが。


< 825 / 927 >

この作品をシェア

pagetop