愛を教えて
柊真二郎《ひいらぎしんじろう》、三十一歳、出入りの造園業者『柊造園』の次男坊。彼が、千代子の産んだ子供だった。
尚子の言葉に卓巳は首を振る。
「本当に、そう思われますか?」
「当たり前じゃありませんの。そうでなければ千代子をそばに置くはずが……」
「あの祖母が、本当に何も気づいてなかった思いますか? この邸に来て、わずか六年の僕ですら知っていることに」
卓巳が藤原家に入ってすぐのことだった。
祖父の残した書類を見直したとき、高徳がなぜか庭師の柊を会社に迎えようとしていたことを知る。
人はよさそうだが、会社経営に向くとは思えない。藤原家の顧問弁護士は、皐月の希望ですでに沖倉に変わっており、その件について前任者から、何も引き継ぎはされていなかった。
卓巳の調査が尚子のそれに劣る訳はなく。調査を始めて数週間後には、卓巳は真実を探り当てる。
「ご、ご存じなかった、はずよ。だって、あたくしがその話をしたら酷く焦って。千代子はあの庭師とグルになって、皐月様に仕える芝居をして、いくらか遺産のお零れに預かろうと」
卓巳はその言葉を聞き、大きく息を吐いた。
「祖母が焦ったのは、千代子のためでしょう。千代子は祖父との関係を恥じていた。そして、柊のことを知りながらも、決して近寄ろうとはしなかった。そんな千代子を思いやり、祖母上は何も知らない振りを続けたんです」
尚子の言葉に卓巳は首を振る。
「本当に、そう思われますか?」
「当たり前じゃありませんの。そうでなければ千代子をそばに置くはずが……」
「あの祖母が、本当に何も気づいてなかった思いますか? この邸に来て、わずか六年の僕ですら知っていることに」
卓巳が藤原家に入ってすぐのことだった。
祖父の残した書類を見直したとき、高徳がなぜか庭師の柊を会社に迎えようとしていたことを知る。
人はよさそうだが、会社経営に向くとは思えない。藤原家の顧問弁護士は、皐月の希望ですでに沖倉に変わっており、その件について前任者から、何も引き継ぎはされていなかった。
卓巳の調査が尚子のそれに劣る訳はなく。調査を始めて数週間後には、卓巳は真実を探り当てる。
「ご、ご存じなかった、はずよ。だって、あたくしがその話をしたら酷く焦って。千代子はあの庭師とグルになって、皐月様に仕える芝居をして、いくらか遺産のお零れに預かろうと」
卓巳はその言葉を聞き、大きく息を吐いた。
「祖母が焦ったのは、千代子のためでしょう。千代子は祖父との関係を恥じていた。そして、柊のことを知りながらも、決して近寄ろうとはしなかった。そんな千代子を思いやり、祖母上は何も知らない振りを続けたんです」