愛を教えて
卓巳はひったくるように携帯を奪い、立ち上がった。


「藤原だ」

『会議中恐れ入ります。私は産婦人科の』

「誰でも構わん! 用件を言え!」

『は、はあ。実は先ほど、奥様が廊下で倒れられまして……それで』

「すぐに行く」


パチンと携帯を畳むと卓巳は振り返り、


「会議は中止だ。宗、玄関に車を回せ」

「大奥様ですか? それとも」

「……万里子が倒れた」


喉の奥から絞り出すように口にし、卓巳は会議室を飛び出した。



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