愛を教えて
翌日、卓巳は坦々と仕事をこなしていた。

しかし、時間を追うごとに、恐ろしいほど不機嫌に変わって行く。


卓巳が家を出るとき、「検査が終わったら連絡をしますね」万里子はそう言った。

その検査は、午前中には終わる予定だと聞いている。それが、昼の一時を回ってもなんの連絡もない。

検査は痛みを伴うものもあるという。


(万里子に何があったんだ? こんなことなら、仕事なんか放り出して付いて行けばよかった)


そう思ってもあとの祭りだ。


そのとき、後方に控えていた宗が携帯電話を手に卓巳の横にやって来る。 


「――社長」


宗の声には、彼には珍しく緊張の色が含まれていた。


「病院から社長に“緊急”とのことです」


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