碧いボール
は?たち?何言ってんの?すごいのは杏でしょ??
「何言ってるんですか、あたし今日、散々だったじゃないですか」
「あのな、今日は散々だったけど、普段はもっと個性豊かなプレーをする選手だと思う、って、選考委員の人が言ってくれたんだよ!」
「どういうことですか?」
「つまり、だ。相川、お前は県選抜の第一次選考を通ったんだよ!!」
一瞬・・・目の前の景色の色が変わって、ゆっくりと流れている気がした。
それから芦田が、明日の場所とかなんとか話していたけど、耳に入らない。
気づいたら隣にお父さんがいて、流れを察したのかとても嬉しそうな顔であたしを見ていた。
お父さん、選抜のこと知ってたのかな。
芦田が電話を切って、あたしはお父さんを真っ直ぐみつめた。
お父さんも負けじと返してくる。
先に折れたのはあたしだった。
もう一度お父さんに抱きついて、喜びを分け合った。
嬉しかった。また、お父さんと一緒にバスケができる。
そう思っていたのに。
あたしに待ち受けていた運命は、あまりにも残酷だった。
あたしはきっと、「条件」なんて果たせない。
あたしは自分の運命を呪った。
その感情の中には、きっと「怒り」も混ざっていたんじゃないかな、と今は思う。
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