ケイヤク結婚
―綾乃side―
しんと静まり返ったオフィスの廊下を私は、理沙ちゃんと歩く。
ずんずんと進んでいく理沙ちゃんの背中を追いかけるので、私はいっぱいいっぱいだった。
「ねえ、いいの? 勝手に入っても……」
「平気、平気。だって夕食を届けないといけないんだから」
理沙ちゃんはコンビニ袋を持ち上げると、私ににっこりと笑いかけた。
本当にいいのだろうか? 勝手にビルに入っちゃっても。
こういうところで働いた経験がないから、不安にかられる。
警備員のおじさんにでも見つかって、摘まみだされてしまわないか。
泥棒と間違われて、警察に通報されやしないか。いろんな不安が押し寄せて、私の手先をどんどんと冷たくさせていく。
「早く来ないと、置いてっちゃうよ~」
理沙ちゃんはそう言うと、曲がり角を曲がった。
待ってよ。ここに置いてかれたら、私……一人で出口まで行けないしっ。
しんと静まり返ったオフィスの廊下を私は、理沙ちゃんと歩く。
ずんずんと進んでいく理沙ちゃんの背中を追いかけるので、私はいっぱいいっぱいだった。
「ねえ、いいの? 勝手に入っても……」
「平気、平気。だって夕食を届けないといけないんだから」
理沙ちゃんはコンビニ袋を持ち上げると、私ににっこりと笑いかけた。
本当にいいのだろうか? 勝手にビルに入っちゃっても。
こういうところで働いた経験がないから、不安にかられる。
警備員のおじさんにでも見つかって、摘まみだされてしまわないか。
泥棒と間違われて、警察に通報されやしないか。いろんな不安が押し寄せて、私の手先をどんどんと冷たくさせていく。
「早く来ないと、置いてっちゃうよ~」
理沙ちゃんはそう言うと、曲がり角を曲がった。
待ってよ。ここに置いてかれたら、私……一人で出口まで行けないしっ。