君のための嘘
******


それから数日後の金曜日、いつもより一時間ほど遅く帰って来たラルフは夏帆に入籍が終わったと言った。


入籍と言われても、何の実感もわかない。


私達は愛し合って結婚するカップルではないから。


数日前に、婚姻届にサインをしようとペンを持った時、疑問に思ったことがあった。


美由紀さんに結婚したことを知らせるのなら写真だけでもいいのではないかと。


「鋭い女性だから偽の結婚写真だとばれてしまう 戸籍書類見せるつもりだ」


ラルフはそう言った。


結婚式をしない結婚だから疑問に思われるのも無理はないよね。


夏帆は納得して婚姻届にサインしたのだった。


< 170 / 521 >

この作品をシェア

pagetop