君のための嘘
夏帆ちゃんは相当眠かったらしく、ぐっすり眠っている。


頬を突いても起きないだろう。


なんて無防備な姿なんだ。


自分の角度から見下ろす夏帆の顔はあどけない。


長い睫毛が見えると、やはりメガネではなくコンタクトレンズにしてよかったと思う。


彼女も気に入っているようで、昼間はずっとコンタクトレンズだ。


寝顔を見ていると、少しだけ開いた唇にキスを落としたくなる衝動にかられる。


よせ、彼女にキスをしたら……その先がもっと欲しくなる。


キスしたい衝動を抑え込むようにラルフは拳を強く握った。


キッチンでキスした時の夏帆ちゃんの反応は新鮮だったな。


美由紀の前でキスなどしなくても良かったのに、見せつけると思わせてキスをしたんだ。


夏帆ちゃんは顔を真っ赤にして、それでいて何でもないような表情を浮かべ……可愛かった。


年齢は大人なのに、純真な所が俺の保護欲をかきたてる。


夏帆ちゃんにどうしても惹かれてしまうのは……貴方のせいですよ……。


自分をここまで導いてくれた男性の顔を思い浮かべたラルフだった。


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