君のための嘘
夏帆はキスがされる少し前までぐっすり眠っていたのだ。


不意に聞こえてきたラルフの「くそっ!」の声。


その声に目を覚ましたけれど、すぐに降ってきたキスに目を開けられなくなったのだ。


その時、車掌のアナウンスが聞こえてきた。


あと10分ほどで箱根に到着するようだ。


その声にかこつけて夏帆は「んっ」と小さな声を出して目を開けた。


隣を見ると、ラルフは目を閉じていた。


眠っているの?


キレイな顔立ち……肌もきれいで……。


あの唇で……。


もう一度、キスして欲しい。


夏帆は眠るラルフの顔から目が逸らせない。


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