君のための嘘
その時、電車がガタンと揺れた。


そこで夏帆は我に返った。


もうすぐ着く。ラルフを起こそう。


「ラルフ、ラルフ……」


ラルフの腕に手をかけて揺すってみると、すぐに瞼が開いた。


「ラルフ、もうすぐ着くって」


「ん、……ああ、僕も眠ってしまったよ。電車の揺れは気持ちいいね? 夏帆ちゃんもぐっすり眠っていた」


「うん。気持ち良かった」


夏帆は自分の気持ちを押し込めて笑みを浮かべた。






箱根の駅の改札を抜けると、雪が舞っていた。


空からゆっくり舞い降りて、コンクリートの地面に落ちると雪は消えて水になる。




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