君のための嘘
「いいえ。貴仁さんとご一緒できるなんて嬉しいです」


恵梨奈はにっこり微笑んだ。


「あいにく……僕は貴方と一緒にいられても嬉しくないんです」


「えっ?」


恵梨奈は聞き間違いかと思い、皮肉めいた笑みを浮かべる目の前の男性を見た。


「こんなお見合いはもう20回は超えている。貴方よりもっと魅力的な女性もいました」


ラルフの言葉に最初は耳を疑った恵梨奈だが、だんだんと形相が変わってきた。


「っ! なんて失礼なっ! なんて礼儀のない人なのっ!」


恵梨奈は肩をわなわな震わせて言う。


「すみません。今のは嘘です。貴方は実に魅力的な人だ」


「まあ! 驚かさないでくださいな。正直、傷つきましたわ」


ふっと肩から力が抜け、恵梨奈は今までの表情を繕うように笑みを浮かべた。


「冗談が好きなんです」


ラルフは肩をすくめて言った。


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