君のための嘘
ラルフはこの縁談を断ろうと思っていた。


しかし、祖母を欺くにはこの縁談がカモフラージュになると途中で考え直したのだ。


10分ほど庭を案内し、当たり障りのない会話をしながら屋敷に戻った。






祖父と一緒に車に向かう縁談相手の後ろ姿を見つめ、大きなため息を吐く。


この縁談に乗り気な彼女に嘘を吐くのは躊躇われたが、今は必要な存在に思えた。


ゆっくりと応接室に戻ると、祖母はにこやかな表情で座っていた。


ラルフが戻って来るのをうずうずと待っていたようだ。


「貴仁さん、そこにお座りなさいな」


ラルフは黙って座布団の上に正座をした。


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