君のための嘘
「お座りなさい」


ラルフは祖母の目の前の座布団の上に座った。


目の前にうぐいす色ときめの細かい泡のたった茶碗が置かれる。


「僕はお茶を飲みに来たのではありませんよ」


ラルフは茶碗を見ただけで手を伸ばさない。


「わかりました。喉が乾いたらお飲みなさい。では、なぜ籍を入れたのか説明しなさい。霧生家の戸籍に傷をつけたのですよ?」


祖母の顔つきは厳しい。


しかしラルフは恐れることなく祖母を見た。


「籍を入れたのはある理由があるからです」


「ある理由? 貴方はその女性を愛していないのですか?」


「いいえ、愛していますよ」


ラルフはきっぱりと口にした。


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