君のための嘘
「まあ、貴方は貴仁さんを愛しているのではなくて?貴仁さんも貴方を愛していると言ったのを聞いていたでしょう?夏帆さんはわたくしとの賭けに勝ったの わたくしはふたりの結婚を認め、祝福しているのよ?」


「それで、すべてが許されると思っているんですか?私の子供時代がどんなに辛かったか、あの時の想いを無かった事に出来ないっ!」


夏帆は涙を流し、いつの間にかむせび泣いていた。


「夏帆ちゃん!落ち着くんだ もういいから部屋で休んで」


嗚咽を堪えながら夏帆はソファから立ち上がった。


夏帆の部屋のドアが閉まると、ラルフは口を開いた。


「おばあ様、夏帆ちゃんには時間が必要です 急がないでください」


「でも、夏帆さんはロスに帰ろうとしているのでしょう?わたくしは帰って欲しくないのよ」


「そうでしょうが……」


「貴仁さんが引き留めるしかないのよ?わたくしは嫌われてしまったから」


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