君のための嘘
僕が引き留める?


これ以上夏帆ちゃんに辛い思いをさせない為に、ロスに帰したいのに。


いや、本当は帰したくないが。


「……やれるだけやってみます」




祖母が帰るとラルフは夏帆の部屋に行った。


ノックをして部屋に入ると、夏帆は顔をこちらに向けて丸くなって眠っていた。


涙の跡が目じりに伝わり、枕を濡らしていた。


可哀想に……君はあとどのくらい、過去に泣かされるのだろう。


指で顔にかかる夏帆の髪をそっと撫でつける。


「ん……」


髪に触れられた夏帆は目を覚ました。


「……ラルフ」


「ごめん、起こしてしまったね」


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