君のための嘘
「……帰ったの?」


「ああ」


「もう二度とあの人の顔は見たくない」


夏帆は身を起こすと、しばしばする目を指で拭う。


「夏帆ちゃん!」


「一緒に暮らすのなんて無理です 早くロスに帰りたいの」


「……わかった 予約をとるよ ただし、体調が良くなってからだ」


ラルフの感情の込められていない声。


やっぱり帰って欲しいと思っているんだ……夏帆は引き留めようとしないラルフに落胆してしまうのを必死に隠した。


ラルフが出て行ってしまうと、再び涙が溢れ出てくるのを止められなかった。



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