君のための嘘
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久しぶりの外出のような気がする。


けれど、ロスに戻ろうとマンションを出たのはほんの3日前。


今回の事は人生において、数10年の経験をしたように思える。


北風にブルッと震える。


夏帆は両手を擦り合わせて、息を吹きかけた。


寒い……。


マフラーと手袋をしていないせいか、冷気が刺すように冷たい。


頬が凍りつきそう。


その寒さを切るように早歩きになった。


もうすぐラルフの元を去る……。


そう考えると、悲しくて胸が痛み、目頭が熱くなる。


でも、愛されないのならラルフの側にいられない。


夏帆は下唇をギュッと噛みしめ、今の想いを吹っ切ろうとした。



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