【十の瞳】



ほっと一息吐くと、すぐさま眼鏡が曇ってきた。


いっそ外してしまおうかとも思うが、これがないと何も見えない。


仕方なく、指で拭ってまたかけ直した。



と、同時に、体を洗い終えたファニーペインが、ざぶん! と元気良く湯船に入ってきた。


お湯が飛沫になって、顔に飛ぶ。


でも僕は腹が立つどころか、高校時代の修学旅行の時にもこんな奴がいたな、と妙に懐かしい気分になった。


「あちちっちち……!」
 

言いながら、彼は湯船の中で太ももを掻きむしるように暴れる。
 


確かに、湯はとても熱かった。


ちなみにこういう場合、僕はじっと耐えて動かない方だ。


そのうち、この熱さに慣れたファニーペインが、




「……何か、ここに来てから凄い事ばっかしちゃってるな、俺達……」
 


しみじみと言った。
 


まったく、その通りである。



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